1 世界の回折格子市場の見通し
世界の回折格子市場は、2024年から2033年にかけて7,28%のCAGRで今後数年間で大幅な成長が見込まれ、2024年には総市場規模が$2億5,764万米ドルに達すると予測されています。回折格子は、多くの異なる波長（白色光など）からなる光を波長ごとの光成分に分割（分散）する光学素子です。最も単純なタイプの格子は、多数の均等間隔の平行スリットを備えたものです。
図 世界の回折格子市場規模と成長率（2024-2033年）
2 回折格子市場の成長要因と制約
回折格子市場は、分光法、レーザー技術、通信などの用途で重要な役割を果たすため、科学研究やさまざまな産業におけるこれらの光学部品の需要増加によって牽引されています。新興市場での高性能光学ソリューションの需要の高まりも、市場の成長に貢献しています。しかし、業界は、研究開発に多大な投資を必要とする高い技術的障壁や、これらの製品を革新および製造するための熟練した人材の必要性など、課題に直面しています。さらに、市場はハイエンドの用途に集中しているため制約を受けており、成長の機会を高めるために多様化と新しい分野への拡大の取り組みが必要です。
3 回折格子市場のM&A活動
2022年、II-VI Incorporatedは、材料、ネットワーク、レーザーの大手グローバルプロバイダーであるCoherent, Inc.の買収を無事完了しました。この戦略的合併により、両組織の強みを組み合わせ、材料からコンポーネント、サブシステム、システム、サービスに至るまで、バリューチェーン全体でII-VIの能力が拡大しました。この買収により、複数の業界に変革をもたらす幅広い先進技術を提供することで、II-VIの市場での地位が向上することが期待されています。Coherentという名前で運営される新しい合併企業は、産業、通信、電子機器、計測の4つの主要市場にサービスを提供することを目指しており、対象市場は1兆5,650億米ドルに上ります。この動きは、クラウドテクノロジー、3Dセンシング、電気自動車、積層造形、宇宙の商業化などの分野で、よりモバイルでインテリジェントで電化された未来に向かって進むII-VIのイノベーションを推進するというコミットメントを表しています。
4 世界の回折格子市場分析（タイプ別）
2024年には、回折格子の世界販売台数は2,750.5千台に達すると予測されており、市場の継続的な成長を示しています。この数字は前年からの大幅な増加であり、市場全体のかなりの部分を占めています。2024年の各タイプの回折格子の市場シェアは、次のように予想されています。ルールドグレーティングは総販売数の57.62%を占め、1584.7千台になると予測されています。一方、ホログラフィックグレーティングは市場シェアの42.38%を獲得し、1165.8千台を占めると予測されています。これら2種類のグレーティングを合わせると、市場シェア全体が構成され、2024年の世界の回折格子業界でこれらの製品が優位に立つことが反映されます。
表 2024 年の世界回折格子販売数とシェア（タイプ別）
タイプ | 2024年の販売台数（千台） | 2024年の市場シェア（%） |
|---|---|---|
罫線格子 | 1584.7 | 57.62% |
ホログラフィックグレーティング | 1165.8 | 42.38% |
5 世界の回折格子市場分析（アプリケーション別）
2024年には、アプリケーション向けの世界の回折格子市場は大幅な成長が見込まれ、売上高は推定2,750.5千ユニットに達すると予想されています。さまざまなアプリケーションの市場シェア分布は、モノクロメータおよび分光計セグメントが主導すると予想されており、総市場シェアの69.20%を獲得し、1903.3千ユニットを占めると予測されています。レーザーアプリケーションは市場シェアの11.67%を占め、321千ユニットを占めると予測され、光通信セグメントは12.75%のシェアを保持し、350.6千ユニットを占めると予想されています。天文学アプリケーションは市場のより小さな部分を占め、3.56%で98千ユニットを占め、その他は2.82%で77.6千ユニットを占めます。これらのパーセンテージは、回折格子の多様な応用分野と、2024 年の市場全体における各セクターの重要性を示しています。
表 2024 年の世界の回折格子の売上とアプリケーション別シェア
応用 | 2024年の販売台数（千台） | 2024年の市場シェア（%） |
|---|---|---|
モノクロメーターと分光計 | 1903.3 | 69.20% |
レーザ | 321.0 | 11.67% |
光通信 | 350.6 | 12.75% |
天文学 | 98.0 | 3.56% |
その他 | 77.6 | 2.82% |
6 地域別世界回折格子市場分析
地域別の市場シェア分布は、北米が35.93%の市場シェアを占め、約988.3千台を占めると予想されています。ヨーロッパは27.26%を獲得し、約749.7千台に相当し、アジア太平洋は34.39%を占め、約946.0千台に相当します。さらに、ラテンアメリカは1.37%で約37.8千台を占めると予測され、中東およびアフリカは1.04%で約28.7千台に相当します。これらの数字は、異なる地理的地域にわたる回折格子の市場浸透と成長の可能性のレベルの違いを強調しており、世界中のさまざまなアプリケーションと業界でこれらの光学部品への依存が続いていることを示しています。
図 2024 年の地域別回折格子の世界販売市場シェア
7 世界の回折格子市場のトップ3社
7.1 堀場
会社概要・事業概要：
1945 年に設立された HORIBA は、精密測定および分析機器の有名な日本のメーカーです。世界的に事業を展開する HORIBA は、自動車の排気ガス測定、環境モニタリング、医療用途、科学研究用の機器の製造を専門としています。世界トップクラスの分析およびライフサイエンス機器メーカーの 1 つとして、HORIBA は回折格子市場で確固たる地位を築いています。
提供される製品:
HORIBA は、標準マスター グレーティングから製造された、または特定の技術要件を満たすようにカスタマイズされた OEM グレーティングの大量生産を含む、産業用途向けの多様な回折グレーティングを提供しています。これらのグレーティングは、比色分析、HPLC、通信、ライフ サイエンス、分析機器などのさまざまな用途で使用されています。HORIBA Scientific は、分光計やハイパースペクトル カメラなど、これらのグレーティングを利用した幅広い製品も提供しています。これらに加えて、HORIBA Scientific は、超高速および高エネルギー レーザー、宇宙飛行、天文学、シンクロトロンなどの用途で使用される科学研究用のグレーティングも提供しています。
直近の年間売上高:
HORIBAは、回折格子分野での強力な市場地位を反映して、販売台数478.7千台、収益1兆5千4,301万ユーロを報告した。
7.2 MKSインストゥルメンツ（ニューポートコーポレーション）
会社概要・事業概要：
1961 年に設立された MKS Instruments, Inc. は、高度な製造プロセスの重要なパラメータを測定、監視、提供、分析、作動、制御し、顧客のプロセス パフォーマンスと生産性を向上させる計測器、システム、サブシステム、プロセス制御ソリューションを提供する世界的なプロバイダーです。
Newport は、MKS Instruments Photonics Solutions 部門のブランドです。Newport の製品ポートフォリオには、精密モーション コントロール、光学テーブルおよび振動絶縁システム、フォトニック機器、光学および光学機械アセンブリなど、幅広いソリューションが含まれています。
提供される製品:
MKS Instruments (Newport Corporation) は、精密モーション コントロール、フォトニック機器、およびオプトメカニカル アセンブリの大手グローバル プロバイダーであり、さまざまな業界向けのカスタム回折格子を専門としています。これらの格子は、OEM 機器メーカーの光学エンジニアや科学者と提携して設計され、独自のアプリケーションに最適なスペクトル効率、波長分散、基板材料、およびサイズを実現するようにカスタマイズされています。MKS Instruments のチーム アプローチにより、最高のコスト パフォーマンスと市場投入までの時間を実現し、同社の格子は半導体リソグラフィー、ライフ サイエンス分析機器、天文学、および環境分析の主要コンポーネントとなっています。
直近の年間売上高:
MKS Instruments（Newport Corporation）は、437.0千台の販売台数を達成し、$45.60百万の収益を上げ、回折格子業界で大きな市場シェアを獲得しました。
7.3 II-VI
会社概要・事業概要：
II-VI は、産業、通信、電子機器、計測機器市場のさまざまなアプリケーションで、顧客の共感を呼ぶイノベーションを提供しています。コヒレントはペンシルバニア州サクソンバーグに本社を置き、世界中に研究開発、製造、販売、サービス、流通施設を持っています。コヒレント コーポレーションは、光学材料と半導体を製造するアメリカの企業です。2021 年現在、同社の従業員数は 22,961 人です。同社の株式は、ニューヨーク証券取引所にティッカーシンボル COHR で上場されています。2022 年、II-VI はレーザー製造業者 Coherent, Inc. を買収し、その社名を採用しました。
提供される製品:
工業、通信、エレクトロニクス、計測機器市場で強力な存在感を持つ II-VI は、高精度の周期構造を特徴とするさまざまな回折格子を提供し、高い波長分解能を実現しています。同社の製品は、社内のホログラフィー、イオンエッチング、複製プロセスを使用して製造されており、平面および凹面反射格子、平面透過格子が生まれています。これらの格子は、通信における波長選択スイッチ (WSS) や材料処理用の超高速レーザーなど、さまざまな用途に使用されており、さまざまな業界に高度な光学部品を提供するという II-VI の取り組みを示しています。
直近の年間売上高:
II-VIは、267.5千個の販売台数、$24.34百万の収益を報告し、世界の回折格子市場に大きな影響を与えていることを示しました。